問題
, を自然数,, を , をみたす実数とする。
このとき をみたす , の組 をすべて求めよ。
解説の pdf も作りました。きれいなレイアウトで読みたい方はこちらをどうぞ。
p の範囲を絞り込む
倍角公式と加法定理を使って を , で表します。
これは のとき使えないので場合分けが必要です。
のとき より ( は整数)とおけます。
これをみたす自然数 は存在しません。
以下, とします。(1)が使えて
\begin{align*}
\tan(\alpha+2\beta) &=\frac{\tan\alpha+\tan 2\beta}{1-\tan\alpha\tan 2\beta}
=\frac{\frac{1}{p}+\frac{2q}{q^2-1}}{1-\frac{1}{p}\cdot\frac{2q}{q^2-1}}\\
&=\frac{q^2-1+2pq}{p(q^2-1)-2q}=2
\end{align*}
分母をはらって整理します。
\begin{align*}
&q^2-1+2pq=2(pq^2-p-2q)\\
&\therefore 2 p(q^2-q-1)=q^2+4q-1\mbox{ ……(2)}
\end{align*}
について 1 次, について 2 次なので低次な について整理しました。
より なので の形に直せます。
\begin{align*}
p &=\frac{q^2+4q-1}{2 (q^2-q-1)}\mbox{ ……(3)}\\
&=\frac{1}{2}\left(1+\frac{5q}{q^2-q-1}\right)=\frac{1}{2}\left(1+\frac{5}{q-\frac{1}{q}-1}\right)
\end{align*}
分母は の増加関数でつねに正なので, は の減少関数です。
の場合を考えると
あとは地道に場合分けすれば解けます。
ア) のとき(2)は になります。これは自然数解をもたないので不適。
イ) のときは つまり になって です。
ウ) のときはそれぞれ , , になります。
これらは自然数解をもちません。
以上から答えは です。
偶奇に注目する
(2)を 5 回解くのは嫌なので偶奇に注目します。
(2)を で考えると がわかって, は奇数です。
で考えると , なので
(2)は になって は偶数です(複号同順)。
なので か です。
あとは(2)を2回解けば終わりです。
ちなみに「 は偶数, は奇数」はまとめて示すことができます。(2)より
は偶数なので になります。
これが成り立つのは「 は偶数, は奇数」のときだけです。
q の範囲を絞り込む
(3)に注目します。分母と分子はどちらも 2 次式で 2 次の係数は分母の方が大きいので,ある程度大きな から先では は 1 を下回ってしまうはずです。 から の範囲が絞り込めます。
分母が正なことを使って整理します。
\begin{align*}
(p=)\frac{q^2+4q-1}{2 (q^2-q-1)}\geqq 1 &\Leftrightarrow q^2+4q-1\geqq 2 (q^2-q-1)\\
&\Leftrightarrow q^2-6q-1\leqq 0
\end{align*}
は自然数なことも考えると を得ます。あとはこれを(2)に代入して解けば終わりです。
ちなみに が偶数なことを使うと から が導けて が言えます。
は奇数なので か です。
, どちらの範囲を絞り込むにしろ,偶奇に注目すると場合分けを約半分に減らせるわけです。