問題概略
算数の苦手なマサルさんは分母,分子ともに 2 ケタの分数の約分を行うときに「分母の 10 の位の数と分子の 1 の位の数が同じだったとき約分してしまう」というクセがあります。
\begin{align*}
\frac{ab}{bc}=\frac{a}{c}
\quad \text{(例)}\ \frac{23}{37}=\frac{2}{7}
\end{align*}ほとんどの場合は間違いとなってしまいますが,正しい結果になる場合もあります(上記の処理の結果, など,さらに約分が可能な分数になってもそれは「正しい結果」と判断します)。
このような分数すべての積を求めてください。
解説の pdf も作りました。きれいなレイアウトで読みたい方はこちらをどうぞ。
不定方程式を解く
分母をはらって整理します。
\begin{align*}
\frac{10a+b}{10b+c}=\frac{a}{c} &\ \Leftrightarrow\ c(10a+b)=a(10b+c)\\
&\ \Leftrightarrow\ 9ac+bc=10ab
\end{align*}
これをみたす を求めます。, , はどれも 1 以上 9 以下です。
どの文字に注目して場合分けしても計算量は大差ないと思います。私は約分で消える の値で場合分けしました。
のとき から
\begin{align*}
(9a+1)(9c-10)=-10
\end{align*}
これの解は かつ のときの だけです。
~ の場合を同じ要領で解くと,条件をみたす は全部で 13 個ありました。
- 自明な 型が 9 個
- 自明でないものは , , , の 4 個
自明な場合の分数はすべて なので積に影響しません。自明でない場合の の積を求めればよくて,答えは「」です。
\begin{align*}
\frac{1}{4}\times \frac{1}{5}\times \frac{2}{5}\times \frac{4}{8}={\frac{1}{100}}
\end{align*}
合同式を使う
合同式を使って解の候補をしぼりこむことができます。
を で考えます。
\begin{align*}
bc\equiv ab\ \Leftrightarrow\ b(a-c)\equiv 0
\end{align*}
「」「」「」「」の 4 つの場合が考えられます。
と を考えると,これは少し整理できてそれぞれ次のようになります。
「」「」「」「」
ア) のとき
は になります。これは と変形できます。
\begin{align*}
(a+1,\, c-10)=(2,\, -5),\, (5,\, -2)\quad \therefore (a,\, c)=(1,\, 5),\, (4,\, 8)
\end{align*}
イ) のとき
計算は省略しますが, になって自明解 9 個が得られます。
ウ) のとき
より は になります。
これと または を連立しても 1 以上 9 以下の整数解は得られません。
エ) のとき
より は になります。
これと または を連立すると がみつかります。
これで 13 通り全部求まりました。