(t^2+1)^(3/2)/(2|t|)の最小値 / 2021 京都大学・理系 第2問

問題

曲線  y=\frac{1}{2}(x^2+1) 上の点 P における接線は  x 軸と交わるとし,その交点を Q とおく。
線分 PQ の長さを  L とするとき, L が取りうる値の最小値を求めよ。

 \frac{(t^2+1)^{\frac{3}{2}}}{2|t|}\ (t\ne 0) の最小値を求める問題です。
そのまま微分しても解けますが,平方してから微分した方が楽です。
また, \tan で置換すると 3 次関数の微分で解けます。

解説の pdf も作りました。きれいなレイアウトで読みたい方はこちらをどうぞ。

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平方して置換して理系微分

 y=\frac{1}{2}(x^2+1) のとき  y'=x なので  x=t における接線は

 y=t(x-t)+\frac{t^2+1}{2}

 t=0 のときこれは  x 軸と交わらないので  t\ne 0
 \displaystyle\mathrm{Q}\left(\frac{t^2-1}{2t}, 0\right) です。

接線の傾きは  t なので  L は次のようになります。
 L=\sqrt{1+t^2}\,|x_{\mathrm{P}}-x_{\mathrm{Q}}|=\sqrt{1+t^2}\cdot \frac{t^2+1}{2|t|}
=\frac{(t^2+1)^{\frac{3}{2}}}{2|t|}

 L>0 なので  L が最小になるとき  L^2=\frac{(t^2+1)^3}{4t^2} も最小になります。

 t^2=u\, (>0) とおいて  f(u)=\frac{(u+1)^3}{4u} の増減を調べましょう。

 f'(u)=\frac{(u+1)^2(2u-1)}{4u^2} より増減表は次のようになります。

f:id:variee:20211210175742p:plain

 L の最小値は  \sqrt{f\left(\frac{1}{2}\right)}=\sqrt{\frac{27}{16}}=\frac{3\sqrt{3}}{4} です。

 \tan 置換して文系微分

 L^2 t^2+1 に注目して t=\tan\theta と置換します。
 L^2 t の偶関数なので  0<\theta <\frac{\pi}{2} で考えます。

こうすると文系範囲の微分で解けます。

 L^2 =\frac{\left(\frac{1}{\cos^2\theta}\right)^3}{4\cdot\frac{\sin^2 \theta}{\cos^2 \theta}}
    =\frac{1}{4\sin^2 \theta\cos^4 \theta}
    =\frac{1}{4(1-\cos^2\theta)\cos^4 \theta}

 \cos^2 \theta=u\ (0< u< 1) とおいて分母を
 g(u)=4(1-u)u^2=4(u^2-u^3) とおきます。

 g'(u)=4(2u-3u^2)=4u(2-3u) より増減表は次のようになります。

f:id:variee:20211210175759p:plain

 L の最小値は  \displaystyle\frac{1}{\sqrt{g\left(\frac{2}{3}\right)}}=\sqrt{\frac{27}{16}}=\frac{3\sqrt{3}}{4} です。


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