問題
兄と弟の 2 人が,図のような東西にのびた道で,自転車に乗って競争します。
2 人はそれぞれ一定の速さで走り,スタート地点を変えて何回か競走します。
ただし,ゴール地点は毎回変わりません。はじめに 2 回競走したところ,結果は次のようになりました。
- 2 人が A 地点から同時に出発したところ,兄が弟より 4.6 秒早くゴール地点に到着しました。
- A 地点の 24 m 東に B 地点があります。弟が B 地点から,兄が A 地点から同時に出発したところ,弟が兄より 1 秒早くゴール地点に到着しました。
(1) 弟の速さは秒速何 m ですか。
さらにもう1回競走したところ,結果は次のようになりました。
- A 地点の 6 m 東に C 地点があり,A 地点の 24 m 西に D 地点があります。弟が C 地点から,兄が D 地点から同時に出発したところ,2 人は同時にゴール地点に到着しました。
(2) 兄の速さほ秒速何 m ですか。
解説の pdf も作りました。きれいなレイアウトで読みたい方はこちらをどうぞ。
ダイアグラムを書く
(1) 私は「さっさとダイアグラムを書け」派なのでダイアグラムを書きます。
2 人とも A から出発したときが図 1。兄弟がそれぞれ A, B から出発したときが図2です。
横軸は時間(秒)で縦軸は距離(m)です。
図 3 のように補助線を引くと,弟は 秒で 24 m 進むことがわかります。
これらの比が求める速さです。
\begin{align*}
24\div \frac{28}{5}=\frac{30}{7}={4\,\frac{2}{7}}\ [\mathrm{m/s}]
\end{align*}
(2) これもダイアグラムです。図 4 のように補助線を引いて点 E, F を定めます。
必要な部分だけ取り出したものが図 5 です。
図 3 をひっくり返したものを考えると がわかります。
(1)で弟の速さがわかっているので AE, AF がわかります。
\begin{align*}
\mathrm{AE}=6\div \frac{30}{7}=\frac{7}{5}\quad \therefore \mathrm{AF}=4.6-\frac{7}{5}=\frac{16}{5}
\end{align*}
兄は 秒で 24 m 進むことがわかりました。これらの比が求める速さです。
\begin{align*}
24\div \frac{16}{5}=\frac{15}{2}={7.5}\ [\mathrm{m/s}]
\end{align*}
連立方程式
連立方程式を使うと,問題の構成というか「なぜ解けるのか」が見えやすいと思います。
A からゴールまでの距離を とおいて兄弟の速さをそれぞれ , とおきます。
(1)に使う式は次の 2 つです。
\begin{align*}
\frac{x}{v}-\frac{x}{V}=4.6\mbox{ ……(a)},\, \frac{x}{V}-\frac{x-24}{v}=1\mbox{ ……(b)}
\end{align*}
この時点では未知数の個数が式の個数より多いのですべての値を確定させることはできませんが,辺ごとに足すと だけの式になって解けます。
この足し算をダイアグラム上でするために補助線をひいたわけです。
\begin{align*}
\frac{24}{v}=4.6+1\quad \therefore v=\frac{24}{5.6}=\frac{30}{7}=4\,\frac{2}{7}\ [\mathrm{m/s}]
\end{align*}
(2)では条件式が 1 つ増えます。
\begin{align*}
\frac{x-6}{v}=\frac{x+24}{V}\quad \therefore \frac{x-6}{v}-\frac{x+24}{V}=0\mbox{ ……(c)}
\end{align*}
(a)と(c)を辺ごとに引くか,(b)と(c)を辺ごとに足すと が消えて解けます。
たとえば(b)を使うと次のようになります。
(2)で引いた補助線は足し算,引き算のためのものではなく の値を使うためのものですね。
\begin{align*}
\frac{18}{v}-\frac{24}{V}=1\quad \therefore V=\cdots=\frac{15}{2}\ [\mathrm{m/s}]
\end{align*}
ちなみに A からゴールまでの距離 は 46 m でした。