問題
は 3 以上の奇数とし, のすべての正の約数を と並べる。
ただし,とする。以下の 2 つの条件(i), (ii)をみたす について考える。
(i) は素数ではない。
(ii) , , をみたすすべての整数 , について, が成り立つ。
このとき次の問いに答えよ。
(1) は 3 または 4 であることを示し, を を用いて表せ。
(2) となるとき,すべての正の整数 について は の倍数であることを示せ。
解説の pdf も作りました。きれいなレイアウトで読みたい方はこちらをどうぞ。
(1)は不等式評価
(1) 抽象的な問題ですが, の最大値に注目すると解けます。
奇数 の約数 ~ はすべて奇数であること,奇数同士は 2 以上離れていることを使います。
なので が最大になるのは , のときです。この値を下から評価すると次のようになります。
\begin{align*}
a_{k-1}-a_2\geqq 2\left\{(k-1)-2\right\}=2(k-3)
\end{align*}
上から評価すると なので から がわかります。
また, は と言い換えることができて から が言えます。これらをあわせると または が言えます。証明終わり。
次は を で表します。
ア) のとき
約数を 3 個しかもたないことから は素数の平方数です。
を 3 以上の素数として と書けるので です。
イ) のとき
の約数は の 4 つです。
と は異なる奇数で,その差は 3 以下なので が言えて です。たとえば のとき , , , で, が成り立つわけです。
まとめると次のようになります。
\begin{align*}
\left\{\begin{array}{ll}
\text{$k=3$のとき}& m={{a_2}^2}\\
\text{$k=4$のとき}& m={a_2(a_2+2)}
\end{array}\right.
\end{align*}
(2)は二項展開
(2) (1)で見たように を 3 以上の素数として , とおけます。
与式を二項展開したときにあらわれる項のほとんどが で割りきれることを利用します。
\begin{align*}
(a_{2}n+1)^{a_2}-1&=(pn+1)^p-1=\sum_{k=0}^p {}_p\mathrm{C}_k (pn)^k-1\\
&=\sum_{k=1}^p {}_p\mathrm{C}_k (pn)^k
\end{align*}
の項はすべて の倍数です。
の項は で,これも の倍数なので はすべての正の整数 に対して の倍数です。証明終わり。