3以上の奇数mの約数a1, a2, …, ak / 2022 東京慈恵会医科大学 第3問

問題

 m は 3 以上の奇数とし, m のすべての正の約数を  a_1,\, a_2,\, \cdots, a_k と並べる。
ただし, a_1 < a_2 < \cdots < a_kとする。

以下の 2 つの条件(i), (ii)をみたす  m について考える。


(i)  m は素数ではない。

(ii)  i \leqq j,  1 < i < k,  1 < j < k をみたすすべての整数  i,  j について, a_j − a_i \leqq 3 が成り立つ。


このとき次の問いに答えよ。


(1)  k は 3 または 4 であることを示し, m a_2 を用いて表せ。


(2)  k=3 となるとき,すべての正の整数  n について  (a_{2}n+1)^{a_2}-1 m の倍数であることを示せ。

解説の pdf も作りました。きれいなレイアウトで読みたい方はこちらをどうぞ。

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(1)は不等式評価

(1) 抽象的な問題ですが, a_j − a_i の最大値に注目すると解けます。

奇数  m の約数  a_1 a_k はすべて奇数であること,奇数同士は 2 以上離れていることを使います。

 1< i\leqq j< k なので  a_j-a_i が最大になるのは  i=2,  j=k-1 のときです。この値を下から評価すると次のようになります。
\begin{align*}
a_{k-1}-a_2\geqq 2\left\{(k-1)-2\right\}=2(k-3)
\end{align*}

上から評価すると  a_{k-1}-a_2\leqq 3 なので  2(k-3)\leqq 3 から  k\leqq 4 がわかります。

また, 1< i\leqq j< k 2\leqq i\leqq j \leqq k-1 と言い換えることができて  2\leqq k-1 から  k\geqq 3 が言えます。これらをあわせると  k=3 または  k=4 が言えます。証明終わり。

次は  m a_2 で表します。

ア) k=3 のとき

約数を 3 個しかもたないことから  m は素数の平方数です。

 p を 3 以上の素数として  a_1=1,\, a_2=p,\, a_3=p^2=m と書けるので  m={a_2}^2 です。

イ) k=4 のとき

 m の約数は  a_1=1,\, a_2,\, a_3,\, a_4=m の 4 つです。

 a_2 a_3 は異なる奇数で,その差は 3 以下なので  a_3=a_2+2 が言えて  m=a_2a_3=a_2(a_2+2) です。たとえば  m=15 のとき  a_1=1,  a_2=3,  a_3=5,  a_4=15=m で, 15=3\times 5 が成り立つわけです。

まとめると次のようになります。
\begin{align*}
\left\{\begin{array}{ll}
\text{$k=3$のとき}& m={{a_2}^2}\\
\text{$k=4$のとき}& m={a_2(a_2+2)}
\end{array}\right.
\end{align*}

(2)は二項展開

(2) (1)で見たように  p を 3 以上の素数として  a_2=p,  m=p^2 とおけます。

与式を二項展開したときにあらわれる項のほとんどが  p^2 で割りきれることを利用します。
\begin{align*}
(a_{2}n+1)^{a_2}-1&=(pn+1)^p-1=\sum_{k=0}^p {}_p\mathrm{C}_k (pn)^k-1\\
&=\sum_{k=1}^p {}_p\mathrm{C}_k (pn)^k
\end{align*}

 k\geqq 2 の項はすべて  p^2 の倍数です。

 k=1 の項は  {}_p\mathrm{C}_1\cdot pn=p^2 n で,これも  p^2 の倍数なので  (a_{2}n+1)^{a_2}-1 はすべての正の整数  n に対して  m=p^2 の倍数です。証明終わり。


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