問題概略
次のような性質をもつ数 あります。
- 0 より大きく 1 より小さい
- に 2 を奇数回かけると小数部分は より大きく 1 より小さくなる
- に 2 を偶数回かけると小数部分は 0 より大きく より小さくなる
を求めてください。
解説の pdf も作りました。きれいなレイアウトで読みたい方はこちらをどうぞ。
2 進小数で考える
を 2 進小数であらわします。
は無限小数です。 が小数第 位で終わる有限小数だったら 2 を 回以上かけると整数になって条件をみたしません。
また,あるところからずっと 1 が並ぶことはありません。
10 進法で がいえるように 2 進法では などがいえて, が有限小数になってしまうからです。
以下, の小数部分を であらわします。
に 2 を 0 回かけた の小数部分は 0 より大きくて より小さいので
はこれをみたさないので です。
の条件は
から先の項の和は初項 ,公比 の無限等比級数を使って上から評価できます。
右の等号は のとき成立しますが,これはありえません。
のとき(1)(2)は両立しないので です。
以降についても同様です。「(1)(2)にあたる式を書く→両立する条件を求める」を繰り返します。
は初項 ,公比 の無限等比級数です。
「偶数回」に「0 回」を含めないことにすると なので も解になります。
ただ,この解釈はちょっと無理があると思うので,別解を考えるにあたって「偶数回」は「0 回」を含むものとします。
2倍は左シフト
「2 倍して小数部分をとる」は「左シフト→整数部分を捨てる」と同じです。
\begin{align*}
0.a_1 a_2 a_3 a_4\cdots_{(2)}\,&\to\, a_1.a_2 a_3 a_4 a_5\cdots_{(2)}\,\to\,0.a_2 a_3 a_4 a_5\cdots_{(2)}\\
&\,\to\, a_2.a_3 a_4 a_5 a_6\cdots_{(2)}\,\to\, 0.a_3 a_4 a_5 a_6\cdots_{(2)}\\
&\,\to\, \cdots
\end{align*}
あるところからずっと 1 が並ぶ数は考えないので,小数部分が 以上になるかどうかは小数第 1 位で決まって , はすぐにわかります。