平方数でない項が存在することを示せ / 2019 一橋大学 第1問

問題

 p を自然数とする。数列  \{a_n\}


 a_1=1,\, a_2=p^2

 a_{n+2}=a_{n+1}-a_n+13\quad (n=1,\, 2,\, 3,\, \cdots)


により定める。数列  \{a_n\} に平方数でない項が存在することを示せ。

解説の pdf も作りました。きれいなレイアウトで読みたい方はこちらをどうぞ。

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背理法で示す

まずは最初の何項かを求めてみましょう。

 a_3=p^2+12,\, a_4=25,\, a_5=26-p^2,\, a_6=14-p^2,\, a_7=1,\, a_8=p^2,\, \cdots

 a_7=a_1,  a_8=a_2 から  \{a_n\} は周期 6 です。
 a_1,  a_2,  a_4 は平方数なので  a_3,  a_5,  a_6 の少なくとも 1 つは平方数でないはずです。

a3=p^2+12 に注目

 a_3=p^2+12 が平方数だと仮定して  p^2+12=k^2 k は非負整数)とおきます。

 12=k^2-p^2=(k+p)(k-p)

 k+p>0,  k+p>k-p k\pm p の偶奇が一致することから  k,  p が決定できます。

 (k+p,\, k-p)=(6,\, 2)\quad \therefore (k,\, p)=(4,\, 2)

このとき  a_5=26-p^2=22 は平方数ではありません。(証明終わり)

a6=14-p^2 に注目

 a_6=14-p^2 が平方数だと仮定します。この数は 13 以下なので 1, 4, 9 のどれかです。

それぞれ  p^2=13,\, 10,\, 5 になりますが,これをみたす自然数  p は存在しません。よって  a_6 は平方数ではありません。(証明終わり)

他に  a_2+a_6=14 を導いて和が 14 になる平方数の組がないことをいう解法もありますね。

また, a_5=26-p^2 に注目しても解けますが  a_6 とほぼ同じなので割愛します。

おまけ:一般項を求める

おまけとして  \{a_n\} の一般項を求めます。与えられた漸化式の特殊解は  a_n=13

 a_n=13+b_n とおいて与式を  \{b_n\} で書き直します。

 b_1=-12,\, b_2=p^2-13,\, b_{n+2}=b_{n+1}-b_n\quad (n=1,\, 2,\, 3,\, \cdots)

漸化式の特性方程式は  x^2-x+1=0 でその解は  x=\frac{1\pm\sqrt{3}i}{2} です。

 \alpha=\frac{1-\sqrt{3}i}{2},  \beta=\frac{1+\sqrt{3}i}{2} とおきます。

 b_n \alpha^n \beta^n の一次結合であらわせますが,その計算はフィボナッチ数列の一般項を求めるのと似ていてつまらないのでド・モアブルの定理を使って三角関数であらわすことにします。

    \alpha^n =\left\{\cos\left(-\frac{\pi}{3}\right)+i\sin\left(-\frac{\pi}{3}\right)\right\}^n
 =\cos\left(-\frac{n\pi}{3}\right)+i\sin\left(-\frac{n\pi}{3}\right)
 =\cos\frac{n\pi}{3}-i\sin\frac{n\pi}{3}

 \beta^n =\left(\cos\frac{\pi}{3}+i\sin\frac{\pi}{3}\right)^n
 =\cos\frac{n\pi}{3}+i\sin\frac{n\pi}{3}

 b_n=a_n-13 \cos\frac{n\pi}{3} \sin\frac{n\pi}{3} の一次結合であらわせて,結果はこうなります。

 a_n=\boldsymbol{\displaystyle 13-(p^2-1)\cos\frac{n\pi}{3}+\frac{p^2-25}{\sqrt{3}}\sin\frac{n\pi}{3}}


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