岩波から出ている『5分で楽しむ数学50話』を読みました。ドイツの新聞に連載された数学コラムをまとめた本です。面白いと思ったネタを2つ紹介します。
パチョーリの正20面体
辺の長さが黄金比をなす 3 枚の合同な長方形を互いに直交するように配置し,頂点を結ぶと正 20 面体ができる。
この図形は 2002 年に東大後期に出題されています。「20面体の体積が最大になるとき,長方形の辺の比を求めよ」→「答えは黄金比」という問題でした。
左下図は問題についていた図,右下図は私が解説で使った図です。20 面体の各面は 2 種類の三角形からなっています。これらが合同な正三角形になるときに体積は最大になり,長方形の辺の長さは黄金比をなします。
川渡り問題がグラフで解ける
一人の農夫が,やぎ(山羊)とキャベツと狼を一艘の小舟に乗せて川を渡ろうとしている。この船には農夫の他,最高で一人の「乗客」しか乗せることができない。しかし,「ヤギとキャベツ」「狼とヤギ」の組あわせだけで岸に残しておくことは避けなければならない。
起こりうる状況をグラフ(推移図?)にまとめます。
- 状況を●で表し,その横にちょうどそのとき左岸にいる「乗客」を書く
- 「全員が右岸に移動した」=「左岸に誰もいない」を空集合であらわす
- 左側の点は農夫が左岸にいることをあらわし,右側の点は農夫が右岸にいることをあらわすとする
たとえば,左側上から 2 つ目の「山」と右側上から 3 つ目の「山」を結ぶ線はヤギを左岸に残したまま農夫が右岸に移動することをあらわします。
このようにして情報を整理したあと,スタート地点,ゴール地点から辺をのばしていきます。最初の 2 ステップ(赤)と最後の 2 ステップ(青)は確定。その間の 3 ステップはオレンジか緑しかありません。計 7 回の移動で終了です。ゼロから考えるのに比べるとかなり考えやすいと思います。