問題
~ ,および ~ の解答を該当する解答群から最も適当なものを一つずつ選べ。
(1) 座標平面上の 3 点 , , C を頂点とする三角形について考える。
点 C の 座標は正であり,原点を O として,以下の問いに答えよ。(a) をみたす場合,点 C は第 象限に存在する。
(b) をみたす場合,点 C は の に存在する。
(c) をみたす場合,点 C は の に存在する。
(d) をみたす点 C が存在する領域(境界を含む)の面積は である。
, の解答群
- 点 A を中心とし点 B を通る円
- 点 B を中心とし点 A を通る円
- 線分 AB を直径とする円
- 離心率が 0.5 で 2 点 O, A を焦点とする楕円
- 離心率が 0.5 で 2 点 O, B を焦点とする楕円
- 離心率が 0.5 で 2 点 A, B を焦点とする楕円
- 線分 AB を一辺にもち,重心の 座標が正である正三角形
- 線分 AB を一辺にもち,重心の 座標が正である正方形
, の解答群
- 内部
- 周上
- 外部
- 重心
(2) 座標空間内の 4 点 , , , D を頂点とし,
\begin{align*}
\angle\mathrm{BAC}< \angle\mathrm{ABC}< \angle\mathrm{ACB}
%\angle\mathrm{BAC}\leqq\angle\mathrm{ABC}\leqq \angle\mathrm{ABC}\leqq \frac{\pi}{2}
\end{align*}
をみたす四面体を考える。 であり,点 D の 座標は正であるとして,以下の問いに答えよ。(a) をみたす場合,点 D は に存在する。
(b) をみたす場合,点 D の 座標は であり,点 D は を中心とする半径 円周上にある。
(c) 以下では, とする。
設問(1)の結果から,点 C の 座標 は
\begin{align*}
\fbox{セ}< s< -\fbox{ソ}+\frac{\fbox{タ}\sqrt{\fbox{チ}}}{\fbox{ツ}}
\end{align*}
の範囲の値をとりうる。
この範囲で が変化するとき,
をみたす四面体 ABCD の体積は, のとき最大値 をとる。の解答群
- 線分 AC の中点を通り直線 AC に垂直な平面上
- 線分 AC を直径とする球面上
- 線分 AC を直径とする球の内部
- 点 A を中心とし点 C を通る球面上
- 点 A を中心とし点 C を通る球の内部
- 線分 AC を一辺にもつ正四面体の面上
- 線分 AC を一辺にもつ正四面体の内部
- 離心率が 0.5 で 2 点 A, C を焦点とする楕円を直線 AC のまわりに 1 回転させてできる立体の面上
- 離心率が 0.5 で 2 点 A, C を焦点とする楕円を直線 AC のまわりに 1 回転させてできる立体の内部
, の解答群
問題文がちがってたら教えて下さい。
解説の pdf も作りました。きれいなレイアウトで読みたい方はこちらをどうぞ。
(1)について
角度を議論する方法はいろいろありますが,この問題で の加法定理や余弦定理を使うのは大げさです。
現実的な解法として次の 2 つを紹介します。
- 等号が成り立つ場合を考えて境界を求める→どちら側か考える
- 角の大小を対辺の大小に言い換える
(a) をみたす C を とします。
点 は AB の垂直二等分線である 軸の の部分にあります。
をみたす点 C はその右側つまり「第 1 象限」にあります。
また, は と同値です。
とおくと,次のようにして「第 1 象限」が導けます。
\begin{align*}
(X-1)^2+Y^2< (X+1)^2+Y^2,\, Y>0\ \Leftrightarrow\ X>0,\, Y>0
\end{align*}
(b) をみたす C を とします。
は二等辺三角形で,点 C はその内部にあります。
より の軌跡は A を中心とする半径 2 の円です。
C の存在領域はこの内部なので答えは「点 A を中心とし点 B を通る円」の「内部」です。
また, は と同値です。
とおくと,次のようにしてCの存在領域が求められます。
\begin{align*}
(X+1)^2+Y^2< 2^2,\, Y>0
\end{align*}
(c) をみたす C は「線分 AB を直径とする円」を描きます。
なのでその「外部」が答えです。
とおいて を利用してもいいです。
\begin{align*}
(X+1,\, Y)\cdot (X-1,\, Y)>0\ \Leftrightarrow\ X^2+Y^2>1
\end{align*}
C の存在領域はこれの の部分です。
(d) (a)~(c)より C の存在領域は図の網掛け部(境界含む)のようになります。
面積を とすると
\begin{align*}
S&=\text{(扇形ABD)}-\triangle\mathrm{OAD}-\text{(四分円OBE)}\\
&=\frac{1}{2}\cdot 2^2\cdot \frac{\pi}{3}-\frac{1}{2}\cdot 1\cdot \sqrt{3}-\frac{1}{4}\cdot \pi\cdot 1^2\\
&=\frac{5}{12}\pi-\frac{\sqrt{3}}{2}
\end{align*}
(2)について
(a) より D は「線分 AC を直径とする球面上」にあります。
(b) とおきます。
, より
\begin{align*}
&\left\{\begin{array}{l}
(X+1,\, Y,\, Z)\cdot (X-s,\, Y-t, Z)=0\\
(X-1,\, Y,\, Z)\cdot (X-s,\, Y-t, Z)=0
\end{array}\right.\\
&\Leftrightarrow\left\{\begin{array}{l}
(X+1)(X-s)+Y(Y-t)+Z^2=0\\
(X-1)(X-s)+Y(Y-t)+Z^2=0
\end{array}\right.\\
&\Leftrightarrow\left\{\begin{array}{l}
X^2+Y^2+Z^2+(1-s)X-tY-s=0\mbox{ ……(A)}\\
X^2+Y^2+Z^2-(1+s)X-tY+s=0\mbox{ ……(B)}
\end{array}\right.
\end{align*}
辺ごとに足すと から を得ます。
これを(A)に代入すると になります。平方完成しましょう。
\begin{align*}
\left(Y-\frac{t}{2}\right)^2+Z^2=\frac{t^2}{4}\mbox{ ……(C)}
\end{align*}
(C)と から問題文にあわせて「D は を中心とする半径 の円周上にある」と答えるのが現実的な解法ですが,(C)に勝手に を補って中心を求めるのは本当はおかしいです。
実は(C)は円柱の方程式で, 平面内の点 を中心とする半径 の円を 平面に垂直な方向に無限に移動させた図形をあらわします。
この説明がピンとこない人は空間図形としての が 平面内の単位円を 軸にそって上下に無限に移動させた円柱を
あらわすことを考えてください。
円柱(C)の軸は 平面に垂直なので平面 で切ったときの断面は円になります。
その中心と半径はそれぞれ , になります。これが正しい考え方です。
(c) の範囲は(1)の(a)(b)からわかります。
の存在領域は を中心とする半径 の円の内部と第 1 象限の共通部分です。境界線は含みません。
のときの の範囲を求めて
\begin{align*}
0< s< -1+\frac{2\sqrt{5}}{3}\mbox{ ……(D)}
\end{align*}
この後はちょっとわかりにくいので,いったん誘導を無視して考えましょう。
この第 3 問で要求されていることは四面体 ABCD の体積 を であらわして,その最大値を求めることです。
底面 の面積は簡単に求められるので,あとは D の 座標を求めれば四面体の高さが決まって の式がわかります。これを平方完成や微分して最大値を求める流れになるはずです。
とおいて
を , , であらわします。
\begin{align*}
\left\{\begin{array}{l}
X^2+Y^2+Z^2=1\mbox{ ……(E)}\\
X^2+Y^2+Z^2+(1-s)X-tY-s=0\mbox{ ……(F)}\\
X^2+Y^2+Z^2-(1+s)X-tY+s=0\mbox{ ……(G)}
\end{array}\right.
\end{align*}
(E)は で,(F)(G)は(b)の(A)(B)です。
整理すると次のようになります。
\begin{align*}
X=s,\, Y=\frac{1-s^2}{t}=\frac{3}{4}(1-s^2),\, Z^2=1-X^2-Y^2=1-s^2-\frac{9}{16}(1-s^2)^2
\end{align*}
四面体の高さは です。
底面積は なので は次のようになります。
\begin{align*}
V&=\frac{1}{3}\cdot\frac{4}{3}\cdot Z=\frac{4}{9}\sqrt{1-s^2-\frac{9}{16}(1-s^2)^2}
\end{align*}
とおきます。
\begin{align*}
1-s^2-\frac{9}{16}(1-s^2)^2=u-\frac{9}{16}u^2=-\frac{9}{16}\left(u-\frac{8}{9}\right)^2+\frac{4}{9}
\end{align*}
のとき で,これは の変域(D)に含まれます。
求める最大値は のときの値です。
\begin{align*}
V=\frac{4}{9}\sqrt{\frac{4}{9}}=\frac{8}{27}
\end{align*}