N(N-1)が平方数になる条件(2013 インド統計大学)

問題概略

 N (N - 101) が自然数の 2 乗になるような自然数  N をすべて求めよ。

https://artofproblemsolving.com/community/c6h533947p3058132

解説の pdf も作りました。きれいなレイアウトで読みたい方はこちらをどうぞ。

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(積)= (一定) の形を作る

2013 年のインド統計大学の入試問題です。

 N(N-101)=k^2 とおきます。 k は自然数です。

 \text{(平方数の差)}=\text{(一定)} の形を作りたいので両辺を 4 倍して平方完成します。

 4N^2-404N=(2k)^2 \Leftrightarrow (2N-101)^2-101^2=(2k)^2
 \Leftrightarrow (2N-101+2k)(2N-101-2k)=101^2

 \text{(積)}=\text{(一定)} の形になりました。この後は「候補を絞り込んでしらみつぶし」です。

101 は素数で  2N-101+2k > 2N-101-2k
また, N(N-101)> 0 N\geqq 1 から  N> 101 がわかるので  2N-101+2k>0 です。
考えられる組み合わせは1つしかありません。

 (2N-101+2k,\, 2N-101-2k)=(101^2,\, 1)

これを解くと  (N,\, k)=(2601,\, 2550) なので  N=2601

最大公約数に注目する

 a,  b の最大公約数を  (a,\, b) であらわします。

 (N,\, N-101)=(N,\, -101)=(N,\, 101)

101 は素数なので  N N-101 の最大公約数は 1 か 101 です。

(ア) 最大公約数が 1 のとき

 N N-101 は互いに素なので  N(N-101) が平方数になるのは  N N-101 が両方とも平方数のときです。

 a,  b を互いに素な自然数として  N=a^2,  N-101=b^2 とおきます。 N を消去すると

 a^2-101=b^2 \Leftrightarrow (a+b)(a-b)=101
 \Leftrightarrow (a+b,\, a-b)=(101,\, 1)\quad (\because a+b>0,\, a+b>a-b)
 \Leftrightarrow (a,\, b)=(51,\, 50)

 N=a^2=51^2=2601 です。

(イ) 最大公約数が 101 のとき

 c,  d を互いに素な自然数として  N=101c,  N-101=101d とおきます。

 N を消去すると  101c-101=101d から  c-1=d を得るので

 N(N-101)=101^2 cd=101^2 (d+1)d

 d d+1 は互いに素な自然数なので,これは平方数になりません。

以上まとめると  N=2601


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不等式から関数決定(2013 インド統計大学)

問題概略

実数から実数への関数  f は次の不等式をみたす。


 |\, f(x+y)-f(x-y)-y\, |\leqq y^2


 f(x)=\dfrac{x}{2}+c(cは定数)であることを証明せよ。


https://artofproblemsolving.com/community/c7h533952p3058145

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どんどん置き換え

答えが与えられている珍しい問題です。
ご厚意に甘えて  g(x)=f(x)-\frac{x}{2} とおきます。

 f(x)=g(x)+\frac{x}{2} より

\begin{align*}
&\left|\, g(x+y)+\frac{x+y}{2}-g(x-y)-\frac{x-y}{2}-y \,\right|\leqq y^2\\
&\Leftrightarrow |\, g(x+y) -g(x-y) \,|\leqq y^2
\end{align*}

 x+y=a,  x-y=b とおきます。

 |\, g(a)-g(b)\, |\leqq \left(\frac{a-b}{2}\right)^2\text{ ……(1)}

ここから  g(x)=const. を導けば終わりです。

早稲田の類題

(1 )から定数関数を導く問題は早稲田が出しています。

相異なる任意の実数  a,  b に対して,不等式

 |\, f(a)-f(b) \,|<|\, a-b \,|^2

をみたす関数  f(x) がある。

このとき, a=0 にとり,いったん  b を固定する。
そして  a,  b でつくられる区間を  n 等分し, f(x) が定数関数であることを示せ。

1998 早稲田大学・政治経済学部 第 2 問

同じ方法で今回の問題も解けるはずですが,この方針は自分には不自然なので微分で解きます。

 b を固定して  a=x と置き換えます。

 |\, g(x)-g(b)\,|\leqq \left(\frac{x-b}{2}\right)^2

 x-b\ (\ne 0) で割ると

 0\leqq \left|\,\frac{g(x)-g(b)}{x-b}\,\right| \leqq \frac{|\,x-b\,|}{4}

 x\to b としてハサミウチの原理を使います。

 0\leqq |\,g'(b)\,|\leqq 0\quad \therefore\, g'(b)=0

これが任意の実数  b で成立するので  g(x) は定数関数です。証明終わり。

ノーヒントなら?

ノーヒントでも解けます。

最初の式で  x+y=a,  x-y=b とおいて整理していきます。

\begin{align*}
&\left|\, f(a)-f(b)-\frac{a-b}{2}\,\right|\leqq \left(\frac{a-b}{2}\right)^2\\
&\Leftrightarrow -\left(\frac{a-b}{2}\right)^2\leqq f(a)-f(b)-\frac{a-b}{2}\leqq \left(\frac{a-b}{2}\right)^2\\
&\Leftrightarrow \frac{a-b}{2}-\left(\frac{a-b}{2}\right)^2\leqq f(a)-f(b)\leqq \frac{a-b}{2}+\left(\frac{a-b}{2}\right)^2
\end{align*}

ヒントありの場合と同様に  b を固定して  a=x と置き換えます。
 x-b\ (> 0) で割ると

 \frac{1}{2}-\frac{x-b}{4} \leqq \frac{f(x)-f(b)}{x-b}\leqq \frac{1}{2}+\frac{x-b}{2}

 x\to b+0 としてハサミウチの原理を使うと

 \lim_{x\to b+0} \frac{f(x)-f(b)}{x-b}=\frac{1}{2}

同様に  \lim_{x\to b-0} \frac{f(x)-f(b)}{x-b}=\frac{1}{2} も言えるので,任意の実数  b に対して  f'(b)=\frac{1}{2} です。

 \therefore\, f(x)=\frac{x}{2}+C\quad (\text{$C$は定数})


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分数関数の値域(2013 インド統計大学)

問題概略

 x \geqq 0 を定義域とする関数


 f(x)=\dfrac{1}{x+2\cos x}


の値域を求めよ。

https://artofproblemsolving.com/community/c6h533942p3058125

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分母の値域を求める

分母を  g(x)=x+2\cos x とおいて,その値域を求めます。

 g(x) は連続関数で, \lim_{x\to\infty} g(x)=\infty はあきらか。次は下限を調べます。

 g'(x)=1-2\sin x

増減表は省略しますが, x=\frac{5}{6}\pi+2n\pi n は非負整数)で極小値をとります。その値は

 g\left(\frac{5}{6}\pi+2n\pi\right)=\frac{5}{6}\pi+2n\pi-\sqrt{3}

 g(x) の最小値はこれら極小値と端点値  g(0)=2 の小さい方です。
極小値としては  n=0 のものを考えれば十分で,

 \text{(最小値)}=\min\left\{\frac{5}{6}\pi-\sqrt{3},\, 2\right\}=\frac{5}{6}\pi-\sqrt{3}

まとめると  g(x) の値域は次の通りです。

 g(x)\geqq \frac{5}{6}\pi-\sqrt{3}\ (>0)

これの逆数をとると  f(x) の値域になります。

 0< f(x) \leqq \frac{1}{\frac{5\pi}{6}-\sqrt{3}}\quad \therefore 0< f(x)\leqq \frac{6}{5\pi-6\sqrt{3}}


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