小さい方から5番目の公約数と最小公倍数から元の数を求める /「算数にチャレンジ!!」第1204問

問題概略

3 つの異なる整数  a,  b,  c があります。この 3 つの整数は次の条件をみたします。

  • (条件1) a b の公約数を小さい方から並べると 5 番目が 14
  • (条件2) b c の公約数を小さい方から並べると 5 番目が 15
  • (条件3) a,  b,  c の最小公倍数は 2100

 a の値を求めてください。

http://www.sansu.org/used-html/index1204.html

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指数に注目

 2100=2^2\times 3\times 5^2\times 7 なので  a,  b,  c に含まれる素数は 2, 3, 5, 7 だけです。
これらの指数に注目して解きます。ちょっと大げさかもしれませんが,次のようにおきます。
\begin{align*}
a &=2^{k_1}\times 3^{l_1}\times 5^{m_1}\times 7^{n_1}\\
b &=2^{k_2}\times 3^{l_2}\times 5^{m_2}\times 7^{n_2}\\
c &=2^{k_3}\times 3^{l_3}\times 5^{m_3}\times 7^{n_3}
\end{align*}

条件 3 は次のように表せます。
\begin{align*}
&\max\left\{k_1,\, k_2,\, k_3\right\}=2,\,
\max\left\{l_1,\, l_2,\, l_3\right\}=1,\, \\
&\max\left\{m_1,\, m_2,\, m_3\right\}=2,\,
\max\left\{n_1,\, n_2,\, n_3\right\}=1\mbox{ ……(A)}
\end{align*}

条件1, 2の言い換え

条件1について

 14=2\times 7 の約数は 1, 2, 7, 14 なので  a b の公約数の最初の 5 個は  (1,\, 2,\, \square,\, 7,\, 14) の形に書けて, \square には 3 か 4 か 5 が入ります。

  •  \square=3 のとき  (1,\, 2,\, 3,\, 6,\, 7,\, 14) になって,14 は 6 番目なので不適
  •  \square=4 のとき  (1,\, 2,\, 4,\, 7,\, 14) になって条件をみたす
  •  \square=5 のとき  (1,\, 2,\, 5,\, 7,\, 10,\, 14) になって,14 は 6 番目なので不適

 a b の公約数を小さい方から順に並べると  1,\, 2,\, 4,\, 7,\, 14,\, \cdots となるので,条件 1 は次のように表せます。
\begin{align*}
&k_1=k_2=2,\, \min\left\{l_1,\, l_2\right\}=0,\,
\min\left\{m_1,\, m_2\right\}=0,\,
n_1=n_2=1\mbox{ ……(B)}
\end{align*}

条件2について

条件 2 についても同様に考えると, b c の公約数の最初の 5 個は 1, 3, 5, 7, 15 だとわかります。
これを指数の条件に直すと次のようになります。
\begin{align*}
&\min\left\{k_2,\, k_3\right\}=0,\,
l_2=l_3=1,\, \min\left\{m_2,\, m_3\right\}\geqq 1,\,
n_2=n_3=1\mbox{ ……(C)}
\end{align*}

 m_2,  m_3 の条件が  \min\left\{m_2,\, m_3\right\}=1 でないのは  \min\left\{m_2,\, m_3\right\}=2 でもかまわないからです。
この場合, b c の公約数は  1,\, 3,\, 5,\, 7,\, 15,\, 25,\, \cdots になって条件をみたします。

3数の決定

(A)~(C)で指数はほぼ決まります。

  •  k_1=k_2=2,  k_3=0
  •  l_1=0,  l_2=l_3=1
  •  m_1=0 (m_2,\, m_3)=(1,\, 2),\, (2,\, 1),\, (2,\, 2)
  •  n_1=n_2=n_3=1

 a の値は  2^2\times 3^0\times 5^0\times 7^1 の「28」です。
オマケとして  (a,\, b,\, c) も書いておきます。
\begin{align*}
(28,\, 420,\, 525),\, (28,\, 2100,\, 105), (28,\, 2100,\, 525)
\end{align*}



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3点問題と4点問題の正解数が10組 /「算数にチャレンジ!!」第1039問

問題概略

マサルさんのテストの点数は ○○ 点でした。このテストは 1 問あたり 3 点か 4 点です。マサルさんは 3 点問題も 4 点問題も 1 問以上は解けていたそうです。


この話を聞いたトモエさんは「その点数だと,3 点問題と 4 点問題の正解数の組み合わせは 10 通り考えられるわね」とコメントしたそうです。
マサルさんの点数として考えられるもののうち,最も低いものを求めてください。テストは 100 点満点とは限りません。
http://www.sansu.org/used-html/index1039.html

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1次不定方程式を解く

3 点問題が  x 問,4 点問題が  y 問解けて  n 点だったとします。
\begin{align*}
3x+4y=n
\end{align*}

これの一般解を求めます。上の式と  3(-n)+4n=n を辺ごとに引くと
\begin{align*}
3(x+n)+4(y-n)=0
\end{align*}

3 と 4 は互いに素なので,一般解は次のようになります。 k は整数です。
\begin{align*}
x+n=4k,\, y-n=-3k\quad \therefore x=4k-n,\, y=n-3k
\end{align*}

 x>0,  y>0 から  k の範囲は  n/4< k< n/3 です。

これをみたす整数  k が 10 個ある  n の最小値が答えです。
 n/3-n/4+1=10 から  n\approx 108 と予想できて,あとはしらみつぶしです。

計算は省略しますが, n=108 のときは 8 個, 109\leqq n\leqq 114 のときは 9 個, n=115 のときは 10 個なので答えは「115 点」です。

ちなみに条件をみたす  n は 12 個ありました。
\begin{align*}
n=115,\, 118,\, 119,\, 121,\, 122,\, 123,\, 124,\, 125,\, 126,\, 128,\, 129,\, 132
\end{align*}



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変な約分がうまくいくケース /「算数にチャレンジ!!」第1046問

問題概略

算数の苦手なマサルさんは分母,分子ともに 2 ケタの分数の約分を行うときに「分母の 10 の位の数と分子の 1 の位の数が同じだったとき約分してしまう」というクセがあります。
\begin{align*}
\frac{ab}{bc}=\frac{a}{c}
\quad \text{(例)}\ \frac{23}{37}=\frac{2}{7}
\end{align*}

ほとんどの場合は間違いとなってしまいますが,正しい結果になる場合もあります(上記の処理の結果, 3/6 など,さらに約分が可能な分数になってもそれは「正しい結果」と判断します)。

このような分数すべての積を求めてください。

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不定方程式を解く

分母をはらって整理します。
\begin{align*}
\frac{10a+b}{10b+c}=\frac{a}{c} &\ \Leftrightarrow\ c(10a+b)=a(10b+c)\\
&\ \Leftrightarrow\ 9ac+bc=10ab
\end{align*}

これをみたす  (a,\, b,\, c) を求めます。 a,  b,  c はどれも 1 以上 9 以下です。

どの文字に注目して場合分けしても計算量は大差ないと思います。私は約分で消える  b の値で場合分けしました。

 b=1 のとき  9ac-10a+c=0 から
\begin{align*}
(9a+1)(9c-10)=-10
\end{align*}

これの解は  9a+1=10 かつ  9c-10=-1 のときの  (a,\, c)=(1,\, 1) だけです。

 b=2 b=9 の場合を同じ要領で解くと,条件をみたす  (a,\, b,\, c) は全部で 13 個ありました。

  • 自明な  (k,\, k,\, k)\ (1\leqq k\leqq 9) 型が 9 個
  • 自明でないものは  (1,\, 6,\, 4),  (1,\, 9,\, 5),  (2,\, 6,\, 5),  (4,\, 9,\, 8) の 4 個

自明な場合の分数はすべて  1/1=1 なので積に影響しません。自明でない場合の  a/c の積を求めればよくて,答えは「 1/100」です。
\begin{align*}
\frac{1}{4}\times \frac{1}{5}\times \frac{2}{5}\times \frac{4}{8}={\frac{1}{100}}
\end{align*}

合同式を使う

合同式を使って解の候補をしぼりこむことができます。
 9ac+bc=10ab \bmod\, 9 で考えます。
\begin{align*}
bc\equiv ab\ \Leftrightarrow\ b(a-c)\equiv 0
\end{align*}

 b\equiv 0」「 a-c\equiv 0」「 b\equiv a-c\equiv 3」「 b\equiv a-c\equiv -3」の 4 つの場合が考えられます。

 1\leqq b\leqq 9 -8\leqq a-c\leqq 8 を考えると,これは少し整理できてそれぞれ次のようになります。

 b=9」「 a=c」「 (b,\, a-c)=(3,\, 3),\, (3,\, -6)」「 (b,\, a-c)=(6,\, -3),\, (6,\, 6)

ア) b=9 のとき

 9ac+bc=10ab ac+c=10a になります。これは  (a+1)(c-10)=-10 と変形できます。
\begin{align*}
(a+1,\, c-10)=(2,\, -5),\, (5,\, -2)\quad \therefore (a,\, c)=(1,\, 5),\, (4,\, 8)
\end{align*}

イ) a=c のとき

計算は省略しますが, a=b=c になって自明解 9 個が得られます。

ウ) (b,\, a-c)=(3,\, 3),\, (3,\, -6) のとき

 b=3 より  9ac+bc=10ab 3ac+c=10a になります。
これと  a-c=3 または  a-c=-6 を連立しても 1 以上 9 以下の整数解は得られません。

エ) (b,\, a-c)=(6,\, -3),\, (6,\, 6) のとき

 b=6 より  9ac+bc=10ab 3ac+2c=20a になります。
これと  a-c=-3 または  a-c=6 を連立すると  (a,\, c)=(1,\, 4),\, (2,\, 5) がみつかります。

これで 13 通り全部求まりました。


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