数学塾variée@吉祥寺

数学塾の中の人の日記

2014新潟大学/確率

2014年の新潟大学の確率の問題について書きます。普通に数えても解けますが,20 と 30 が 2, 5, 10 の倍数であることを使うと楽に解けます。

A の箱には 1 から 20 までの整数が 1 つずつ書かれた 20 枚のカードが入っている。

B の箱には 1 から 30 までの整数が 1 つずつ書かれた 30 枚のカードが入っている。

A, B の箱から 1 枚ずつカードを取り出し,取り出した 2 枚のカードに書かれた整数の和を X とおく。このとき,次の問いに答えよ。

(1) X が 2 の倍数となる確率を求めよ。

(2) X が 2 の倍数であるが 5 の倍数でない確率を求めよ。

(3) X が 5 の倍数となる確率を求めよ。

(4) X が 2 の倍数にも 5 の倍数にもならない確率を求めよ。

A, Bから取り出した数字を a, b であらわして,X = k となる確率を P(k) であらわします。各問の答えは順に
 P(2),\, P(2)-P(10),\, P(5),\, 1-P(2)-P(5)+P(10)
です。

P(5) の計算

P(5) を求めてみましょう。A, Bのカードを5で割った余りでグループ分けします。
\begin{align*}
&A_0=\left\{5,\, 10,\, 15,\, 20\right\},\,B_0=\left\{5,\, 10,\, 15,\, 20,\, 25,\, 30\right\},\,\\
&A_1=\left\{1,\, 6,\, 11,\, 16\right\},\,B_1=\left\{1,\, 6,\, 11,\, 16,\, 21,\, 26\right\},\,\\
&\quad \cdots\\
&A_4=\left\{4,\, 9,\, 14,\, 19\right\},\,B_4=\left\{4,\, 9,\, 14,\, 19,\, 24,\, 29\right\}
\end{align*}

20, 30 は 5 の倍数なので,どのグループも同じ個数の要素をもちます。

「A0 と B0 から各 1 枚」「A1 と B4 から各 1 枚」……のように選ぶと X=a+b は 5 の倍数になります。どの a に対しても b が同じ個数選べることに注目しましょう。

  • a はなんでもよい(確率1)
  • b は a に応じて選べる (確率 1/5)

これらをかけて

 P(5)=1\cdot \dfrac{1}{5}=\dfrac{1}{5}

同じように考えると

 P(2)=1\cdot \dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{2},\, P(10)=1\cdot \dfrac{1}{10}=\dfrac{1}{10}

あとはこれらを足し引きすればよく,各問の答えは次のようになります。

 \dfrac{1}{2},\, \dfrac{2}{5},\, \dfrac{1}{5},\, \dfrac{2}{5}

普通に数えるなら

(a, b) は 20 x 30 = 600 通りあり,条件をみたす組を全部書き出すのは現実的ではありません。適当に記号でおいて数えます。P(10) を求めてみましょう。

X=10 となるのは (a, b) = (k, 10-k) のときです。

 1\leqq a\leqq 20,\, 1\leqq b\leqq 30 より  1\leqq k\leqq 9 なので,これは 9 通り。

以下同様で,次のような組があります。

  • (k, 20-k) (1 ≦ k ≦ 19)
  • (k, 30-k) (1 ≦ k ≦ 20)
  • (k, 40-k) (10\ ≦ k ≦ 20)
  • (20, 30)

全部で 9+19+20+11+1=60 通りあるので

 P(10)=\dfrac{60}{600}=\dfrac{1}{10}

P(5) も同じ要領で求められますが,場合分けが大変です。ここは剰余に注目したいところです。

2017杏林大学/問題3(2)

今日の授業で使った問題について書きます。2017杏林大学医学部・問題3(2)の一部です。

正の実数 x に対して,下記極限で定義される関数を f(x) とする。

 f(x)=\displaystyle\lim_{a\to 2}\dfrac{\cos ax-\cos 2x}{a^2+a-6}

x>0 の範囲で y=f(x) のグラフが直線 y=ax+b と共有点をもたない条件を求めよ。

f(x) の求め方

まずは f(x) を求めます。赤本では分子に対して和積公式を使っていましたが,私なら微分係数の定義を使います。分母,分子を

 g(a)=a^2+a-6,\, h(a)=\cos ax-\cos 2x

とおきます。g(2) = h(2) = 0 から

 f(x) =\displaystyle\lim_{a\to 2}\dfrac{h(a)}{g(a)}=\displaystyle\lim_{a\to 2}\dfrac{h(a)-h(2)}{g(a)-g(2)}

 =\displaystyle\lim_{a\to 2}\dfrac{\dfrac{h(a)-h(2)}{a-2}}{\dfrac{g(a)-g(2)}{a-2}}=\dfrac{h'(2)}{g'(2)}

g'(a)=2a+1, h'(a)=-x sin ax を使って

 f(x)=-\dfrac{1}{5}x\sin 2x

極限計算において「微分係数の定義を使う」は気づきにくいです。私も受験生時代,何度もひっかかりました。

共有点をもたない条件

次は x>0 の範囲で直線 y=ax+b と共有点をもたない条件を求めます。「辺々引いて微分」で解くのはつらそうなので,ここはグラフを考えます。
y=f(x) のグラフは y=x/5, y=-x/5 を補助線として利用すれば微分なしで描けます。

f:id:variee:20171031214116p:plain

共有点をもたない条件は「直線 y=ax+b が領域  x>0,\, -\dfrac{x}{5}\leqq y\leqq \dfrac{x}{5} と共有点をもたないこと」です。
これは次のように言い換えられます。

  • 「x > 0 でつねに ax+b > x/5」または
  • 「x > 0 でつねに ax+b < -x/5」

移項して最大最小問題に帰着させましょう。

  • 「x > 0 でつねに (a - 1/5)x + b > 0」または
  • 「x > 0 でつねに (a + 1/5)x + b < 0」

ここまでくればあとは簡単ですね。求める条件は

「b = 0 かつ |a| > 1/5」または「b > 0 かつ a ≧ 1/5」または「b < 0 かつ a ≦ -1/5」

解答欄は「a > □ かつ b > □」または「a < □ かつ b < □」という形式になっていて,正しい答えは記入できません。空気を読んで 0 と 1/5, -1/5 を書き込んで終了です。

生徒の感想は「気づけば簡単ですね」でした。「知ってれば」「気づけば」簡単かもしれませんが,本番では結構気づかないだろうと思います。

杏林大学(医学部) (2018年版大学入試シリーズ)

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2014防衛医大/択一/問題5

防衛医大の過去問を見ていて,ちょっと無茶な問題を見つけました。2014年の択一の第5問です。

整数 (201)^8 の上 3 桁の数字の並びは以下のどれか。

(1) 269
(2) 268
(3) 267
(4) 266
(5) 上の4つの答えはどれも正しくない

防衛医大の択一は英数国あわせて 90 分で,数学は 15 問あります。単純計算で 1 問にかけられる時間はたったの 2 分。それでこの問題を解けというのはちょっと無理だと思います。赤本の解答も「?」でした。

私なら,答えだけでよいことをいかして 1 次近似で粗く解きます。

 201^8 =(200+1)^8=\left\{200\left(1+\dfrac{1}{200}\right)\right\}^8

 \fallingdotseq 200^8\left(1+\dfrac{8}{200}\right)=2662400000000000000

上 3 桁は 266 なので,答えは(4)です。

記述式の試験ならアウトな解法ですが,制限時間の厳しい択一試験ではこれで十分かなと思います。

ちなみに 201^8 の正確な値は
2664210032449121601
です。1次近似がかなりいい近似になっています。

防衛医科大学校(医学科) (2018年版大学入試シリーズ)

防衛医科大学校(医学科) (2018年版大学入試シリーズ)

既習範囲の復習に数検対策の本を使いました

「復習のきっかけになれば」と思い,夏休み中の授業で数検の過去問集を使ってみました。使った本はこちら。近所の書店の在庫状況にあわせて2冊を使いわけました。

実用数学技能検定過去問題集 数学検定3級

実用数学技能検定過去問題集 数学検定3級

受かる!数学検定過去問題集3級

受かる!数学検定過去問題集3級


復習として単に既習範囲の問題を解くよりは試験形式の方がやりがいがあるようです。かなり集中して解いてくれます。

ただ,3回もやるとかなり慣れますね。点数も間違うところも収束していきます。数検の問題集は大体4〜5回分の問題が載っていますが,最後の1回をとばすくらいで丁度よい感じでした。

弱い分野がわかったら,そこをこれまで使った教材で復習です。間違えた直後なら復習にも身が入るでしょう。数検の本は手頃なテスト形式の演習書なので,本気で数検対策する人以外にもおすすめです。

『数学受験術指南』(森毅)

森毅さんの『数学受験術指南』を読みました。

数学受験術指南 (中公新書 (607))

数学受験術指南 (中公新書 (607))

この本はタイトルこそ「受験術」「指南」ですが,ハウツー本ではなく,エッセイ集です。初版が出たのは1981年。私が高校生~大学生だったころは結構読まれていたような気がしますが,今はどうなんでしょうか。

受験をとうの昔に終えた身が読むと首肯できることばかりなのですが,当の受験生が読むと「そうはいっても……」「具体的にはどうすれば……」と感じることが多いかもしれません。実効性・即効性はありませんが,示唆に富んだ本です。

高校時代に読んだときに一番印象に残ったのは「集中して勉強しろ」というくだりです。

受験勉強を時間ではかるな。映画だって二本立てではくたびれる。何時間も机に向かったって,どうということない。それは「勤務時間」を消化しているようなものだ。

入試本番との関係なら,むしろ,短時間に集中する訓練をしておいたほうがよい。(p.8)

当時の私はこれを読んで「映画を1本見ればそれなりに疲れるのに,机に2時間向かっても疲れない。集中の度合いが足りないってこと?」と思い,集中して勉強することを意識しました。ただ,これって誤読してますねw

答案の書き方についても参考になりました。

  • 書かんでもええことばかり書いてあって,書いてほしいことは書いていない。(p.22)
  • 答案というものは,採点者がその解答の筋をたどりやすいように書く,というのは鉄則だろう。なにより,それは他人に読ますものだ。自分のために書く日記ではないのだ。(中略)コミュニケーションの用をなさなくては,いくら自分はわかってると主張しても,仕方がない。(p.98)
  • おおまかな言い方をすると,採点者の減点のポイントになるようなところは書かねばならぬが,どうころんでも関係なさそうなところは書かなくてよい。(p.104)

これらは計算ばかりだらだら書く生徒を指導するときの元ネタとしていまだに利用しています。