数学塾variée@吉祥寺

数学塾の中の人の日記

2017杏林大学/問題3(2)

今日の授業で使った問題について書きます。2017杏林大学医学部・問題3(2)の一部です。

正の実数 x に対して,下記極限で定義される関数を f(x) とする。

 f(x)=\displaystyle\lim_{a\to 2}\dfrac{\cos ax-\cos 2x}{a^2+a-6}

x>0 の範囲で y=f(x) のグラフが直線 y=ax+b と共有点をもたない条件を求めよ。

f(x) の求め方

まずは f(x) を求めます。赤本では分子に対して和積公式を使っていましたが,私なら微分係数の定義を使います。分母,分子を

 g(a)=a^2+a-6,\, h(a)=\cos ax-\cos 2x

とおきます。g(2) = h(2) = 0 から

 f(x) =\displaystyle\lim_{a\to 2}\dfrac{h(a)}{g(a)}=\displaystyle\lim_{a\to 2}\dfrac{h(a)-h(2)}{g(a)-g(2)}

 =\displaystyle\lim_{a\to 2}\dfrac{\dfrac{h(a)-h(2)}{a-2}}{\dfrac{g(a)-g(2)}{a-2}}=\dfrac{h'(2)}{g'(2)}

g'(a)=2a+1, h'(a)=-x sin ax を使って

 f(x)=-\dfrac{1}{5}x\sin 2x

極限計算において「微分係数の定義を使う」は気づきにくいです。私も受験生時代,何度もひっかかりました。

共有点をもたない条件

次は x>0 の範囲で直線 y=ax+b と共有点をもたない条件を求めます。「辺々引いて微分」で解くのはつらそうなので,ここはグラフを考えます。
y=f(x) のグラフは y=x/5, y=-x/5 を補助線として利用すれば微分なしで描けます。

f:id:variee:20171031214116p:plain

共有点をもたない条件は「直線 y=ax+b が領域  x>0,\, -\dfrac{x}{5}\leqq y\leqq \dfrac{x}{5} と共有点をもたないこと」です。
これは次のように言い換えられます。

  • 「x > 0 でつねに ax+b > x/5」または
  • 「x > 0 でつねに ax+b < -x/5」

移項して最大最小問題に帰着させましょう。

  • 「x > 0 でつねに (a - 1/5)x + b > 0」または
  • 「x > 0 でつねに (a + 1/5)x + b < 0」

ここまでくればあとは簡単ですね。求める条件は

「b = 0 かつ |a| > 1/5」または「b > 0 かつ a ≧ 1/5」または「b < 0 かつ a ≦ -1/5」

解答欄は「a > □ かつ b > □」または「a < □ かつ b < □」という形式になっていて,正しい答えは記入できません。空気を読んで 0 と 1/5, -1/5 を書き込んで終了です。

生徒の感想は「気づけば簡単ですね」でした。「知ってれば」「気づけば」簡単かもしれませんが,本番では結構気づかないだろうと思います。

杏林大学(医学部) (2018年版大学入試シリーズ)

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