数学検定について

数学検定を受けたときのこと,指導したときのことを書きます。

受けてみた(約10年前)

準1級

易しい。普通の受験勉強で十分対応できます。私は時間制限ありで問題を解くのはひさしぶりで,楽しかったです。燃えるものを感じましたw

1級

私が学生だった頃は試験範囲がたしか「大学教養課程」で,問題も簡単でしたが,受けたときにはもう少しレベルが上がっていました。1 次試験に偏微分方程式や複素積分が出てたりしました。いまは範囲が「大学・一般」となっていて,大学専門課程を含むのかどうかぼかした表現になっています。

ちなみに約 200 人受けて 7 人合格(合格率 3.5%)です。そのちょっと前には約 200 人受けて 3 人合格(合格率 1.5%)なんて回もありました。公式 HP によると平成 25 年度は 3 回の試験で 969 人が受けて 75 人合格(合格率 7.7%)だそうです。

昔とは試験範囲や難易度が変わっていそうなので,古い過去問集を買ってもあまり意味がないかもしれません。新しい本を買って,あとは大学生用の普通の演習書をやるとよいと思います。

私はまず当時出ていた過去問集を全部買って解きました。

  • 2 次は易しい。
  • 1 次は時間が足りない。9 問中 7 問(合格ライン)正解するのは結構大変。計算ミスが怖い。微分方程式のように解法を知らないと解けないタイプの問題も出ます。

試験勉強は 1 次対策がメインになります。大学 1 年に戻ったつもりで易しい演習書をこなしました。私の場合,高校数学で解く癖がついているので矯正が必要でした。たとえば多変数関数を文字固定などで処理するのではなく,未定乗数法を使うとかですね。

1 級受験者のほとんどは大学生以上で,時間制限のある試験からはだいぶ遠ざかっているはずなので易しい問題を使って,速く正確に解く練習をした方がよいと思います。

行列式や逆行列の計算をたくさんやりました。「行の変形と列の変形をうまく組み合わせて一気にきれいな形にする」など,自力では気づきにくい有名問題が結構あって「試験にはやはり対策が必要」だと思いました。定義プラス α だけで戦うのは心もとないので,割り切って過去問とその類題を解きましょう。

以上の他,適当に専門書を読み返しました。無事受かりました。

教えてみた

手頃な目標

数学検定は普通の中高生にとって手頃な目標だと思います。高 2 以下だと模試はほとんどないですし,数学オリンピックや広中杯はかなりできる人でないと現実的な目標になりません。その点,数学検定は先取りの目標としても,基本を復習するきっかけとしても使えます。中だるみを防ぐためにも受けてみてよいと思います。

問題集は 2 冊買う

過去問集がたくさん出ています。本番形式のものと単元別のものを両方買いましょう。

単元別の方は弱点の強化用です。一般的な参考書でも代用できますが,1 冊ですべてまかなえるのはやはり便利です。1 つ 1 つの問題が過去問だったりするので「無駄なことをしていない」感が精神衛生上もよいと思います。

本は実際に店頭で見て買いましょう。なぜか問題のすぐ後に解答が載っている構成の本が多いのですが,これは使いにくいです。私のおすすめは学研の本です。

受かったら普通の勉強に戻る

数検の問題はかなり素直で,ある級に受かったからといって「その学年の数学は大体 OK」とはとても言えません。しばらくは普通の参考書で勉強して,地力を高めてから次の級に挑戦しましょう。


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