2016日本医科大学を解いてみた

今年の日本医科大学の問題を解いてみました。

問題ごとの講評

第 1 問は普通。易しいわけではありませんが,医学部に行きたいならこれくらいは解けてほしい。

第 2 問は早稲田理工あたりで出題されれば「普通」「計算するだけ」とか言われそうですが,第一手の置換( u=x-t+1)を思いつかない人や  e^{-u^2} の微分を間違える人が多かったでしょう。
第 3 問が難しいだけに,これが解ければかなり有利なのですが。

問題は第 3 問です。線分の通過領域を求める問題でした。このタイプの問題は易しいものなら直線の通過領域に帰着できて「直線の通過領域のうち第 1 象限の部分」のように処理できますが,本問はそんなに甘くありません。

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私は逆像法で解きました。直線 PQ の式を  t の 2 次方程式とみなして,それがある範囲に少なくとも1つ解をもつ条件を考えます。この「ある範囲」がクセモノです。

与えられた  t の範囲は  1\leqq t\leqq 3。一方,線分の条件から  t-5 \leqq x\leqq t なので  x\leq t \leqq x+5

 t の範囲はこれらの共通部分です。 \max, \min を使って一旦まとめてから場合分けすると楽ですが,経験上,高校生はこういう処理が苦手なはずです。

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この後は 2 次方程式の解の配置を考えます。一般に  f(x)=0 a\leqq x\leqq b に少なくとも 1 つの解をもつ条件は次のとおりです。

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これを  t の範囲に応じて 3 回計算すると解けます。「または」のせいで  3 \times 2=6 通りの条件が出てきます。
実際には 3 つの場合のうち 2 つは軸条件をみたさないので条件は 4 通りですが,それでも面倒です。

逆像法で面倒なら他の解法はどうでしょうか? 順像法の場合,真っ先に軸の位置に注目するので計算は少し楽になります。

包絡線を使うこともできます。PQ の式を  t について平方完成すると

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線分 PQ は y=-\dfrac{1}{5}(4x^2+6x+1) に接しながら動くことがわかります。

接点は  t+2x+1=0 から  x=-(t+1)/2 です。以上をもとに概形を図示した後,端点の軌跡を考えれば解けます。ただし,結構複雑な図になるので,この方法で正しい図を得るのは難しいかもしれません。

まとめると, t の 2 次方程式を導いた後は順像法か逆像法を選択して軸条件から考えるのがベストです。

全体的な感想

第 3 問が難しいのですが,こういう問題を解く必要があるのかどうか考えた方がよいと思います。第 1 問,第 2 問を解ききれば数学としては合格点なのでは? 第 3 問は「○○が××に少なくとも 1 つ解をもつような条件を求めればよい」と方針を書くところまでいけば十分すぎるでしょう。


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