数学塾variée@吉祥寺

数学塾の中の人の日記

展開前に指数に注目するべし(数と式)

多項式の展開係数を求める問題について書きます。

問題 関数



の導関数 f'(x) の 117 次の係数を求めよ。

出典は 1996 年の東京女子医大です。数学があまり得意でない受験生なら,とりあえず展開してしまいそうですが,そうすると 128 個の項が出てきて収拾つきません。

2進法で考える

そこで指数に注目します。展開して得られる項の次数は 1, 2, 4, 8, 16, 32, 64 のいくつかを足したもの。k 個足したのなら,係数は



となります。118 = 2 + 4 + 16 + 32 + 64 だから f(x) の 118 次の係数は (-1)^5 = -1。よって,f'(x) の 117 次の係数は


となります。指数の 1, 2, 4, 8, 16, 32, 64 は 2^0, 2^1, …, 2^6 で,これらの和で 1 から 127 までのすべての自然数を表せることから 118 を分解してみようって気になりませんか?

次数を落として実験してみる

2 進法の利用に気づかなかったとしても,実験&規則性発見で解けます。

f(x) のうち最初の n 個の括弧までとったものを f_{n}(x) とおきます。



規則性ありますよね。

  • 係数は 1 と -1 しかない
  • f_{n+1}(x) の下半分は f_{n}(x) と同じ。上半分は -1 倍したもの

この予想は正当化するのに,



を使います。f_{n}(x) は 1 + 2 + … + 2^{n-1} = 2^n - 1 次なので,右辺の第 1 項と第 2 項でダブリは生じません。

よって,f_{n}(x) の k 次の係数を A(n, k) とおくと,



が成り立ちます。これを使って次数下げしていきます。


となります。式で書くと仰々しいのですが,

f_7(x) の118次の係数は f_6(x) の 118 - 64 = 54 次の係数を -1 倍したもの

のように言葉で置き換えていくと,そう難しくありません。