正992角形から正多角形を作る /「算数にチャレンジ!!」第992問

問題概略

正 992 角形があります。この正 992 角形の 992 個の頂点からいくつかを選んで正多角形を作ることにすると,何通り作ることができるでしょうか。
ただし,合同な正多角形であっても異なる頂点を選んでできたものは別々に数えるものとします。

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 d が約数なら  \frac{n}{d} も約数

 n 角形は  \frac{992}{n} 個作れるので,992 の 3 以上の約数の集合を  A として
 \sum_{n\in A} \frac{992}{n} が答えです。

これをまともに計算するのは大変ですが, \frac{992}{n} 自身も 992 の約数であることを使うと楽に計算できます。

 992=2^5\cdot 31 の約数は 1, 2, 4, 8, 16, 31, 32, 62, 124, 248, 496, 992。

たとえば正 4 角形は  \frac{992}{4}=248 個できます。他も同様なので,求める個数は次のようになります。

 992\times\left(\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\frac{1}{16}+\frac{1}{31}+\frac{1}{32}+\frac{1}{62}+\frac{1}{124}+\frac{1}{248}+\frac{1}{496}+\frac{1}{992}\right)=\text{528個}

約数の総和から引く

上の計算式において  \frac{992}{4}=248 などはすべて 992 の約数です。
ということは,992 の約数の総和から  \frac{992}{1}+\frac{992}{2}=1488 を引いたものが答えです。

 (1+2+2^2+2^3+2^4+2^5)(1+31)-1488=(2^6-1)\cdot 32-1488=\text{528個}


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敵は3人ずつ,友人の敵は敵(2017 香港TST)

問題概略

 n 人の委員からなる委員会がある。どの 2 人の委員も友好関係または敵対関係にあり,どの委員もちょうど 3 人ずつと敵対関係にある。また,友人の敵は敵である。 n として考えられる値をすべて求めよ。

https://artofproblemsolving.com/community/c6h1294021p6857837

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実験前の準備

2017 年の香港の Team Selection Test の問題です。

人を点( \circ),敵対関係を実線,友好関係を破線であらわすことにします。

「友人の敵は敵」がわかりにくいので,3人の場合で実験してみます。
人間関係は  2^3=8 通り考えられますが,「友人の敵は敵」ルールをみたすのは 5 通りだけです。
実線が 1 本の三角形は存在しません。

f:id:variee:20211112200640p:plain

次に辺の数を数えます。
敵対関係をあらわす実線は各委員から 3 本ずつ出ています。ダブルカウントを考えて,全部で  \frac{3n}{2}本。
 n は偶数です。

小さな n で実験

 n=4 のときはすべて実線(敵対関係)です。

f:id:variee:20211112200652p:plain

 n=6 のときもうまくいきます。

f:id:variee:20211112200706p:plain

 n=8 のときはうまくいきません。
「実線が 1 本の三角形は存在しない」ルールにより図の A, B, C から 4 本以上の実線が出てしまうからです。下図では例として C からの実線のみ書いてあります。

f:id:variee:20211112200719p:plain

これを一般化すると  n\geqq 8 はすべて不適であることが証明できます。

各委員を  \mathrm{P_1} \mathrm{P}_{n} であらわし, \mathrm{P_1} \mathrm{P_2},  \mathrm{P_3},  \mathrm{P_4} と敵対関係にあるとします。

 \mathrm{P_5} \mathrm{P}_{n} n-4 人は  \mathrm{P_1} と友好関係にあるので, \mathrm{P_1} の敵  \mathrm{P_2} と敵対しています。

 \mathrm{P_2} から見ると  \mathrm{P_1} に加えて  \mathrm{P_5} \mathrm{P}_{n} の計  n-3 人は敵です。

 \mathrm{P_2} の敵は 3 人ですから

 n-3\leqq 3\Leftrightarrow n\leqq 6

これは  n\geqq 8 と矛盾します。結局,求める人数は 4 人か 6 人です。


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対数の和の最小値(2013 インド統計大学)

問題概略

 a,  b,  c は 1 より大きい実数である。

 S=\log_a bc+\log_b ca+\log_c ab の最小値を求めよ。

https://artofproblemsolving.com/community/c6h533941p3058122

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底を揃える

2013 年のインド統計大学の入試問題です。
常用対数で考えて  p=\log a,  q=\log b,  r=\log c とおきます。これらはすべて正です。

底の変換公式を使います。

 \log_{a}bc=\frac{\log bc}{\log a}=\frac{\log b+\log c}{\log a}=\frac{q+r}{p}

他の項も同様なので  S は次のように変形できます。

 S =\frac{q+r}{p}+\frac{r+p}{q}+\frac{p+q}{r}
 =\left(\frac{q}{p}+\frac{p}{q}\right)+\left(\frac{r}{q}+\frac{q}{r}\right)+\left(\frac{p}{r}+\frac{r}{p}\right)
 \geqq 2\sqrt{\frac{q}{p}\cdot\frac{p}{q}}+2\sqrt{\frac{r}{q}\cdot\frac{q}{r}}+2\sqrt{\frac{p}{r}\cdot\frac{r}{p}}=6

等号は  p=q=q のとき,つまり  a=b=c のとき成立します。

 \therefore \text{(最小値)}=6

6 文字の相加平均・相乗平均の関係

6 文字の相加相乗でもできますね。

 S =\cdots=\frac{q}{p}+\frac{r}{p}+\frac{r}{q}+\frac{p}{q}+\frac{p}{r}+\frac{q}{r}
 \geqq 6\sqrt[6]{\frac{q}{p}\cdot\frac{r}{p}\cdot\frac{r}{q}\cdot\frac{p}{q}\cdot\frac{p}{r}\cdot\frac{q}{r}}=6

等号はすべての分数が一致するとき,つまり  p=q=q のとき成立します。


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